ユニークなお店である。見てのとおりとても狭い間口。ほとんど四畳半もないかと思われる店内にカウンターのみ。立ち食い、立ち飲みのお店である。ちなみに京橋界隈は立ち飲み文化だそうで、当店の向かい側も立ち飲みのお店が一軒。 しかし、並の立ち食いではない。20種類以上の酒肴を100円から400円位の手軽な値段で供するほか焼酎・日本酒もなかなかいいものを置いている。 そして何より凄いのが、圧縮空気でそば玉を一気に押出し、相撲の前垂れのように出てきたそばがそのまま沸騰する釜の湯の中にダイレクト・イン。茹で時間は長くて10秒。さっと水で洗って、氷水で〆ると果たして手打ちの十割でもこうまで出来るには相当な熟練が必要と思われる素晴らしい蕎麦が出来あがる。 しかも普通の並盛りの量が「小盛り」でナント300円、普通の倍はあろうかと思われる「並」で450円である。はっきり言ってこれではいかに機械で省力化されていても採算は合わないのではと心配される価格設定である。 蕎麦はさらしな粉7割、一番粉3割のブレンド(それでも蕎麦粉10割には変わりない)が「恵みもり」、さらしな粉10割が「さらしなもり」と命名されている。 |
個人的には前者、つまり「恵み盛り」が蕎麦粉の風味がふんだんに味わえるので好みである。恵みもりの麺は薄いあずき色。中ぐらいの太さだが、やや麺の切り幅(押出され幅?)に若干のムラがあるが、それが一層「手打ち」感を高める。 「挽きたて」、「打ちたて」、「茹でたて」を「蕎麦の三たて」と言って美味しく蕎麦をいただく必須条件といわれているが、恵み屋ではすくなくとも「打ちたて」の中の、「のしたて」「切りたて」と「茹で立て」はトータル30秒位にまで短縮されている。その上「捏ね」に関しても「ミキサー」で捏ねるにしても、短時間で捏ねられるわけだから、「捏ねたて」も実質的には実現されている。「挽きたて」については前日に取引先の製粉会社で前日に挽いたものを届けてもらっているとのこと。そういう意味では「ほぼ挽きたて」も実現されている。しかも使用している蕎麦粉は岩手県藪川地方産の国内蕎麦のみという徹底ぶりである。 これだけの条件を備えると「機械打ち」でも並の手打ち、いやかなりの名店の手打ち以上の味を体験できる。 とにかく風味がいい。蕎麦の香ばしい匂いがプ〜ンと鼻腔をつく。そのまま「生(き)」でいただく。コシがあって、エッジ感も押出し製法を全く感じさせないシャープな仕上がりだ。正直、つゆなしで小盛り一杯位はすぐに食べられそうだ。 つゆも悪くない。だしか返しは自家製だと話しておられた。とにかくだまされたと思って、一度このお店を試して欲しい。みなさんの「蕎麦観」が変わるかも。 さて、当店をプロモートしたい(何の利害もないですが)ので、以下に同店のサイトからの一部を引用する。 と、いうことである。ぜひ商業的に成功されることを祈りたい。 |