福島県山都町宮古 「大下」      

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正面から見た全景。堂々たる民家。
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  暖簾をくぐってお邪魔しま〜す。全くの民家を訪れる感じ。
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                ミニそば会席のセット。どれもこれも美味しいものばかり。
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                   つゆは大根のおろし汁に出汁。
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                                   やや太めながらキリッとしたそば
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              大正7年生まれ関口とよこさん。このそばを打ってくれました。
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     山深い宮古の町並み

 

   会津に行ってきた。東山温泉に宿をとりながら、市内各所を回った。
   喜多方はラーメンで有名だが、会津はむしろ「そば」である。
   東京にも勇名を馳せている「桐屋」も市内に本店と「夢見亭」の二軒があるが、それ以外にも数多く「手打ちそば」の看板を見る。
   会津産の「そば粉」も有名である。東京でも、会津産を掲げるお店をときおり目にする。
   さて、この会津若松市の北西に位置する山都(やまと)町は村興しのひとつとして、「そば」に取組んでいる。
   JR磐越西線に「山都」駅がある。車では磐越自動車道「会津坂下(ばんげ)」インターのほぼ真北になる。
   この山都駅周辺が山都町の中心地であり、この辺りにも「そば屋」を営む「お宅」は数多くある。
   しかし、そこからさらに北上し、「宮古」と呼ばれる地区に分け入るとそこはもう「そば銀座」ともいうべき地帯である。
   相当な山間地帯なので、道も細く、特に冬季の交通は難渋が予想される。が、おそらくそういう時期こそまた、雪景色の風情が素晴らしいのであろう。
   今回は地元の方のご紹介で、宮古地区の入口に近い「大下」にお邪魔する機会を得た。
   写真でご覧いただけるような堂々たる大屋根を持った民家。中に入ると襖をとって二間続きの大広間にお膳が並べてある。
   とにかく天井が高い。そして縁側から優しく初夏の光が入ってくる。
   既にお膳には山で採れるきのこや山菜などを使った料理が用意されている。ビールを頂きながらそれらの田舎料理を頂く。
   それがまた、どれをとっても旨い。いやがおうにもこれから出てくるそばへの期待が高まる。
   ついに運ばれてきた「そば」はひと掴み分が小鉢に入っている。写真のとおり色は薄めだがところどころに甘皮の破片らしきものがポツポツと見える。切り幅はやや太め。「ざる」や「すのこ」に載っている訳ではないので、やや水気があるが器の底に残る程度で気にならない。
   まずは一皿、つゆなしでいただく。「旨い!」同行して下さった方も何人かはつゆなしで試しされたようだが、異口同音に「旨い!」とご発声。
   庵主はまず一皿はつゆなしで頂いてしまった。写真の関口とよこおばあちゃん が打ったとは思えないほどのコシ。そして何より新鮮なそば粉の風味と甘味が口一杯にひろがる。色彩的には全く「田舎」的なものがないのに、それでも正に「田舎の味」ともいうべき素朴さがある。しかしそれでいて、江戸前のそばとしても全く遜色のない洗練された歯ごたえが堪らない。エッジ感もしっかりしている。
    一皿あっという間に平らげると、若奥さんが次の四人前を平皿に盛ってきてくれる。それをさっきの小皿に移して今度はつゆにつけて食べてみる。
   つゆは湯島「古式蕎麦」よろしく、大根のおろし汁をベースに出汁と醤油からできているようだ。
  
   これが、写真ではなんのケレン味もないつゆに見えるがどうしてどうして。出汁もいいし、大根のおろし汁ならでは爽快な辛みがある。
   これが、この清冽なそばによく合うのである。あっという間に6皿を平らげる。
青々とした山の緑、風情ある民家の佇まい、愛想のいい若奥様のご対応、おばあちゃんが打ってくれた珠玉のそば。どれをとっても大満足の「宮古そば」であった。あんまり道が整備されて、都会から人が押し寄せないことを祈るのは自己中心的に過ぎるであろうか・・・。

福島県山都町大字蓬莱字殿屋敷3380    (←クリックで地図へ。但し、山都地区全体図なのでやや重くなっています。  年中無休 11:00-20:30 但し、完全予約制 (二日前までに必ず予約) 30名収容。駐車場 2台、他共同駐車場利用。 0241-38-2603

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