▽二回目の往訪 汲み上げ湯葉、わさび芋、にしん(の棒煮)を頂いたどれもなかなかのお味だが、やや価格の割に量が少ないか。その後「せいろ」と「かけ」を頂いたが、「せいろ」の一回目の往訪の際に感じた「手打ち感」は強烈である。蕎麦粉のザラつき感が心地よく、切り幅も太くなく細くなく、コシの強さと包丁の鋭さからくる麺のエッジ感は最高である。つゆについて前回は疑問を呈したが今回は非常に納得した。辛めのつつゆは麺によく絡み、強烈な芳香を放つ麺に決して負けていない。そのまま、「かけ」に進むことのが余りに惜しく、「せいろ」をお代わりしてしまった。 |
さて「かけ」だ。一目みてこの「かけ」への期待感が高まる。薄目に例の麺が上品に沈んでいる。真中にナント「菜の花」が一切れとゆずの一片が浮いているではないか。なんたる季節感。まず「つゆ」は上品で出汁の風味が活かされた素晴らしいものである。麺をすくって口に運んでみる。温かくてもあのコシは失われていない。つゆもしっかりと麺に乗ってくる。いつもの手だが、少し残しておいた「にしん」を麺の下に押し込み、暖まるのをまつ。これで、「にしんそば」の出来上がりだ。予想どおりの素晴らしい味のハーモニー。このお店に対する私の評価は今日の往訪で更に高くなった。 ▽Hanako に紹介された内のひとつである。2000年9月に開店したばかりで、店内も真新しい。入口は確かに目立たない。広尾方面から来ると北里研究所まで行ってしまうとちょっと行き過ぎである。 「せいろ」を頂いた。上品なざるに丁寧に盛られてきた。ざるの真中が盛り上がっていない分、量はまずまずである。細切りの麺は全体に白っぽいが甘皮の破片らしきものが散りばめられている。丁寧に手打ちされた「蕎麦」であることが伝わってくる。つゆにつけずに口に運ぶ。舌に少しザラっとした感じがして、独特のコシがある。そして何より素晴らしい香りを放つ麺である。3分の1程度をつゆ抜きでいただく。 やや「つゆ」が気になった。最近かつお出汁が先行し過ぎるつゆを「弱い」評する傾向のある庵主ではあるが、当店のつゆは逆に「返し」の醤油感が強すぎる。神田「まつや」や室町「砂場」のつゆがキリっと辛いのに対して、当店はちょっと醤油そのものの角が前面に出過ぎている印象をもった。1回だけの往訪なので何とも言えないが皆様のご意見も伺いたい。 とはいうものの庵主はこのお店は「とても良いお店」だと思う。 清廉な内外装に加えて、調理場で働く方々の真摯な眼差しやお花番の清楚な女性の感じのいい接客はとても好感がもてる。 夜のメニューも充実しているので今度ゆっくりと伺いたいものである。 港区白金5-10-10 白金510-1F 03-3444-3570 (地図は左の住所をクリック) 水曜 休 11:30-14:30 17:30-21:30 |