このお店では貴重な体験をさせていただいた。本当に注文してから目の前の打ち場でご主人が「水回し」から「切り」までを手際よくこなされ、ちょうど私がいただく量だけこまが進んだところで、その分を「茹で」に回していただいた。 「挽きたて」だったかはともかく、打ちたてであったことは間違いなく、白い粉が見事なそばとなって目の前に出現するまで20分位であっただろうか。 一方で、打ち場には石臼も置いてあり、ヌキがその上にあったので、多分「挽きたて」でもあったと想像される。このように、本当に「三たて」を頂く機会に恵まれて心から感動した。 また、失礼を承知で申し上げるが、ご主人の体格の良さにもある種の感動を覚えた。太い二の腕が、きびきび動くさまは芸術的とも言える。 |
さて、出来あがったそばである。もうこれは最高である。全く、つゆは不要。つゆなしで一枚、二枚は平気で食せる。芳醇なそばの香り、甘さ、爽やかさ。噛みしだけばしだくほど、味わいが出てくる。切り幅、コシどれをとっても最高のそばである。特に生粉打ちとしては最高の食感に仕上がっている。 つゆにつける。また、このつゆがいい。そばの香りを殺さず、それでいて、麺に強力に絡む。 帰り際、ごく自然に「ヌキ」を一握り分けて欲しいと申し出た。ご主人がちょっとけげんそうな顔をされたので、「そば味噌」を家で作りたいと説明したら、快諾いただきビニール袋に結構な量を入れてきてくださった。 僅かなお金を置こうとしたら、「それはいい」とおっしゃってくださった。 (でも、一応お金は払った。良質の「そば」は高価なものなので。どうか、庵主のような不躾な真似は皆さんなさらないようにお願いします。) なんとも言えない満足感に満たされながら、この店を後にした。 国分寺市西元町2-17-16 042-327-7400 (地図は住所をクリック) 木・第二水曜 休 11:30-18:00 (売切れじまい) |