「せいそん」、静かな村という意味か。ちなみに、「邨」という字は、「村」の古い字で、その途中に「木」ヘンに「屯」と書いた字が出来たが、その字を昔の人が「書き間違えた」結果できたのが現在使われている「村」という字だそうである。 武蔵小山駅前の商店街をずっと平塚橋の方に歩いて来る。ほとんど中原街道にぶつかるかと思われるちょっと手前で左に鋭角に折れるとすぐ右手にこのお店がある。 入口にかかる暖簾のすぐ右側に電動石臼が見えるだろうか? |
この臼で毎日国内産の蕎麦を挽いているとのこと。中に入るとほぼ正面がガラス張りの打ち場になっており、中ではご主人と思しき方がそば打ちの真っ最中であった。 入って右側がテーブル、左の奥が入れ込みの座敷になっている。 さて、「せいろ2段重ね」をいただく。かなり切り幅に乱れがある。庵主は割と切り幅にこだわる。それは結局のところ重要な「茹で」の工程に影響するからである。また、自分が打つ際に今のレベルでは一番「様(サマ)に成らない」パートだからでもあろう。 |
しかし、山芋と卵水でつながれた蕎麦は強いコシとまずまずの香りをもつ、なかなかの仕上がりである。切り幅の不揃いに伴う、茹でムラを感じることはなかった。一枚目はつゆなしで頂くことに。「つゆ」はかなりの辛口。「返し」の醤油がしっかりと効いている。最近「出汁」にこだわり過ぎて、香りが全面に出過ぎた「つゆ」が多いなかで、これぐらいの力強さがあった方が、麺とのバランスがいい。 薬味の「葱」と「山葵」はちょっとイマイチであった。 だがしかし、一言でいうとこのお店は「良いお店」である。ご主人のお人柄が、店の名前、お花番の対応ぶり、そして丁寧に手打ちされた蕎麦の仕上がりにことごとく表れている。 そう、このお店はいいお店である。お近くの方はぜひぜひお立寄りあれ。 ▽2度目伺った。 麺に独特の歯ごたえ。普通のコシというのとはちょっと違う。意外と粘りの薄いコシで、どちらかというとポキポキという感じで折れてしまうような・・・。敢えていうならば「乾麺」の茹で足らずという感じか。 と、書いてしまうとなんだか美味しくないように聞こえるが、味は決して悪くないし、麺とつゆのバランスは上でも書いたとおり、なかなかの出来である。 家族連れなどで賑わう「とても良いお店」であることに何ら変わりはない。 ▽3度目伺った。 とうとう「新そば」に。「辛味大根そば」をいただいた。かなり辛味のある大根おろしがタップリ。海苔と薄く掻いたおかかもふんだんに載っている。美味い。 大根が辛いので、思わず「せいろう」をお代わりしてしまった。 それともうひとつ、「そばがき」。メニューにはなかったような気がするが頼んでみた。これが超美味い。連れは「幸せ」を連発していた。本当においしい蕎麦掻きで、掻きっぱなしでなくお湯につかっているものとしは最高の部類。やっぱりいいお店だ。 品川区荏原2-17-19 03-3781-6966 (地図は左の住所をクリック) 水曜 休 (月1回のみ木曜も休) 11:00-21:00 |