平成12年7月の開店。新しいお店である。向かって右側がJRAの場外馬券売り場「Wins」の建物である。ご覧のとおりビルの1階にありながら、木をうまく使った粋な構えとなっている。 暖簾をくぐって、地下に降りると真新しさが眩い純和風の内装。蕎麦屋としての気楽さと料亭っぽい高級さのちょうど間を行く印象である。 夜はすぐ近くの築地市場から直送の新鮮な魚介類がメインになるお店にふさわしい雰囲気である。 さて、まず「つけ鴨せいろもり」をいただいた(ちょっと、セオリー違反。ただ、隣のお客さんがあまりに美味しそうに食べていたので・・・)。 麺は太くもなく細くもなくせいろとしてはちょと良い切り幅。ちょっと黒っぽくていかにも「お蕎麦」という色合い。「つゆ抜き」で口に含む。この時期のそば粉としては、素晴らしい香りが口一杯に広がる。二八らしい、コシとエッジ感。 |
その上何よりも嬉しいのは「水」がいいことだ。庵主は最近特にこの「水」の重要性を痛感している。結局蕎麦は「そば粉」と「水」、場合によって「小麦粉」だけが成分だ。しかも、茹でるのも水、洗うのも水、最後にくぐらす良く冷えた「鏡水」も水である。「水」がまずいとせっかくのそばが台無しになりかねない。 いい蕎麦粉にいい水。ドンドン、麺だけで食べてしまう。半分以上行ったところで、つゆである「鴨汁」をひとすすり。 「美味い」これが第一印象。鴨肉も香ばしくていいのだが、さらに、「葱」が何と表現したらいいのだろうか、「お麩(ふ)」のように「ふわっ」と浮いているのである。この葱と鴨肉と麺をひとつかみにして、口に持っていくと、コクのあるつゆと相俟って、何とも名状し難い味のシンフォニーである。この「つけ鴨せいろもり」はお勧めである。 さて、麺だけの味をさらに味わい、普通の辛汁の味を試すべくさらにせいろもりを追加。またまたあっと言うまに麺はつゆ抜きで半分以上なくなる。さて、「つゆ」だ。正直な感想としてはいまひとつ。余りにも「塩」っぽい味がする。醤油の味を押さえてあるのかもしれないが、ちょっと空虚な味だ。やはり江戸前のそばを主張するなら、みりん・醤油・砂糖のきいたしっかりした返しの存在をアピールするようなつゆが欲しいところだ。麺が素晴らしいだけに、このつゆでは麺が泣くような気がちょっとした。 しかし、トータルとしてみれば、素晴らしいお店であると思う。夜もぜひ伺ってみたい。 なお、連れは「辛味大根そば」を頂いたが絶賛していたことを念のため書添える。 中央区銀座2-10-18 中小企業会館B1 03-5565-1500 (地図は住所をクリック) 日・ 祝 休 11:30-15:00 17:00-22:00 土曜は11:30-20:00 |