お店の中は重厚なテーブルと椅子、所狭しと座っているお客さんと店の大きさの割には多めの店員さんでいつもぎっしり満杯といった感じである。さて、せいろ、田舎そば、出汁巻き玉子(卵焼き)、そして枡酒である。(最近しそ切りもいただいた)
まず、せいろも田舎も素晴らしいが、とくに私はつゆが気に入っている。濃すぎず、薄すぎず、香りも豊かで絶品と思う。
客層は地元の年配層もあれば今はやりの「シロガネーゼ」系の若いカップルや家族までさまざまである。観光客風の人も多いと聞かされたが私の見る限りそんな感じはしない。いずれにしても、いつもぎっしり満杯なので、落ち着いて食べることができないのが唯一の難か?それでも、必ず食べてしまうのが、「わらびもち」である。黒蜜までつくと、甘すぎるので私は黒蜜を抜いてもらって、黄な粉だけで食べるようにしている。
▽非常に頻繁に伺ってしまう。最近の往訪から。
お昼に利庵に伺った。枡酒に「わさびいも」「板わさ」。「せいろう」をほとんどつゆ抜きでいただいた後、「天あられそば」(小柱の天ぷらがあられのごとくちりばめてある)で〆た。
行列ができるほどいつも混んでいるし、席もかなり窮屈。しかし、そんなことに構わず、悠々とやろうと思えばできる不思議なお店である。お花番は十分な数揃えているのでサービスの手際は素晴らしい。
麺だけ捉えて「絶品」とは言わないが、「逸品」であることは間違いなく、つゆはキリッとしていて麺に負けない。豊富な天ぷら系メニューの充実と相俟ってトータル・バランスとしては極めて優れたお店である。
もちろん、「絶品」の「出汁巻き玉子」、食後の「わらび餅」これらも抜きには語れない。
▽ほとんど毎週伺っている。席まで決まってきてしまった。
久しぶりに田舎を所望。ちょっとゴツゴツ感はあるが、それほどは太くなく、ちょうどいい切り幅。田舎もこれくらい洗練されている方が東京で食べるときはいいような気がする。相変わらず麺のレベルの高さとつゆの完成度の高さのバランスがいい。庵主の頭の中では、当店の評価は毎週高まっていると行っても過言ではない。
▽今回は「鴨せいろ」のお話。但し、私はいつも「せいろ」ではなく「田舎そば」でお願いしている。それにしても利庵の「鴨せいろ」はいつもながら凄い。超テンダーな鴨肉のご〜つく厚い切り身が3−4キレ、葱と一緒に焼かれたままの香ばしい姿で出てくる。つまり、「つゆ」につかっていないのである。これに、通常の「辛汁」を注いで、麺をつけて食べるのだが、この鴨肉のジューシーで香ばしいくて、やわらかで、なんとも言えないお味。もうこれだけで食べ切ってしまいそうになるのをグッとこらえて、つゆを注ぐ。麺は麺でいつものとおり、もう半分はつゆ抜きで食べてしまっているので、本当に「鴨せいろ」(実は「鴨田舎」)の状態になる頃ににはほとんど終わってしまっている有様。しかし、それでも残りの「鴨田舎」を惜しみながら食べるのだが、「つゆ」に焼かれた鴨の「肉汁」と「脂」が加わって、一層深みとコクのある味になり、それがしっかり打たれた田舎に強烈に絡みつく。Ahhhhhhh、至福の時。
港区白金台5-17-2 (地図は住所をクリック) 03-3444-1741
月曜/火曜 休み 11:30-19:30
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