新宿 大木戸 「矢部」     住所・地図等へ 全店一覧へ 

  四谷4丁目の交差点を越えトンネルに入らずにそのまま新宿に向かう。
  すぐ左に新宿「志な乃」があり、それを過ぎたら左に曲がる。そのまま真直ぐ進むとすぐに新宿御苑にぶつかるがそこまで行かず裏通りを歩く。すると表に大きな捏ね鉢が置いてあるお店に出くわす。これが名にし負う大木戸「矢部」である。
   引き戸を遠慮がちに開けると、なるほど相当なる「気」のたちこめたお店。
    目の前に斜めにカウンターが走り、その向こうではご店主らしき方が目は決して笑うことなく、それでも愛想よく「いらっしゃい」の一言。なんだかその一瞬でこちらの客としての値踏みをされたような、そんな「緊張」が走る。カウンター以外にはテーブル席がいくつか。それほど大きいお店ではない。
   ご主人は既に注文が入った天ぷらを用意するために、活き海老を捌いたり、野菜の形を整えたりと作業に余念がない。作業の合間に奥に3-4人は居ると見られる若手に対する厳しい檄が飛ぶ。
   やっぱり、厨房の中も空気が張り詰めている。こっちまで怒られているような気がして、更に緊張してしまう。しかし、それはご主人の料理に完璧を求める姿勢故とお見受けした。従って、これから出てくる蕎麦に対する期待も高まる。
    さて、運ばれてきたセイロだが、素晴らしい。色は薄茶色、というか薄あずき色の正当派。細く切られた麺が箱がたの蒸篭に丁寧に広げられている。いかにも美味そうな麺相である。
   箸で適量つかむとやはりスッと欲しいだけの麺が上がってくる。口に運ぶと予想どおりの歯ごたえ、香り。エッジも効いて、噛みしだくとジワっと蕎麦の甘味がでてくる。蕎麦粉(実)の風味がプーンと香らんばかりに新鮮。上品な細切り。かといって細すぎることはない。
   つゆは料理にこだわる職人さんが丁寧に取った出汁のきいたまろやかな仕上がり。麺との絡みで言うと少し弱いような気もするがそれでも麺の素晴らしさがそれを十分にカバーしている。  
   そうこうしている内にご主人が揚げたての天ぷらが丁寧に盛りつけ終えた。盛り付けひとつを見ても味へのこだわりが伝わってくる。
    本来であれば夜、ゆっくりと酒でも飲みに来て見たいお店である。

新宿区新宿1-3-5 新進ビル1F     03-3350-1500 (地図は左の住所をクリック)
日曜・祝日 休み 11:30-14:00  17:30-22:00 予約した方がいいと思います。

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