降りしきる雪の中初めて伺ったこのお店は、中原街道を五反田から環七方面に向かう途中の昭和医大病院の少し手前の交差点近くにこのお店はある。 一言、このお店はいい、最高!と言いたい。コンセプトは恵比寿「なゝ樹」と同じで「信州戸隠そばと地酒に酒肴の数々」だが庵主としてはこの「百々亭」の方が数段いいと思う。まずお店の雰囲気が柔らかで寛げる。加えて、「いい水」で打たれたそばの風味が当店の方が勝ると思う。 |
山菜ざるを頂いた。麺は意外にも細打ちで、丁寧に打たれた様が伝わってくる。水にこだわっているのは、口にしたときの舌ざわりの清冽さがそれを物語る。 「つゆ」は全く必要としない。麺を食べては添えられたお漬物や山菜をちょっとつまむだけでどんどんと食べ進んでしまう。 案の定つゆと薬味と山菜が残ってしまった。ふとその時壁に目をやると「太打ちめん、いなかそば(限定30食)」とあった。これだ!と思わずお代わり。 出てきたのは本当に太打ちの田舎であった。これがまた強烈な香りを放つ一品であった。かなりゴツイ食感ではあるが意外と麺の表面は滑らかでドンドン食べることができる。コシが相当強いため少し噛むのに疲れるがそれもこの芳しい香りの前にはなんのその。非常に満足した。 「つゆ」自体はこういう「地蕎麦」系のお店によくあるいい加減な味ではなく、キリっとしている。京橋「山形田」、「なゝ樹」などに比べるといくぶん濃い目であるが、麺にはほどよくマッチする。山菜などと合わせて食べても美味しくいただける。 特筆すべきは、「雪の日のサービス」と称して小皿一品を付けていただいたこと、それから、なんと言ってもお店の方々の柔らかさが、「なゝ樹」のちょっと怖いご主人や女将さんに気後れしてしまう気の弱い庵主には、またとない安らぎを与えてくれるのである。また、ぜひ伺いたい。 そう、それからこのお店は無休なのである。なんとありがたいことか! ▽今日はどうしてももう一度行きたくて旗の台「百々亭」にお邪魔した。ついこの前の雪の日に伺ったばかりだが、夜は夜で酒肴の数々も冴えていた。そばコロッケは中身がトロリとしていて緑色なのだがこれがなかなか美味い。サービスで出てきたそば味噌もまろやかな味噌の味に適度に柔らかい蕎麦の実が見事にマッチ。冬大根のゆず風味味噌田楽も美味。〆にいただいた細切りの戸隠そばは麺にかなり大目の水分が残っているのにもかかわらず水っぽさを微塵も感じさせないのは「水」の良さだと確信した。そばの味のかなりの部分は「水」で決まる、との思いを新たにした。考えてみれば、水清らかな会津の北、山都では「水そば」があるではないか。水がよければそばの味も一層引き立つというものだ。と、いうことで「百々亭」は超お勧め店である。 品川区西中延2-15-19 03-3783-0801 (地図は左の住所をクリック) 無休 11:30-14:00 17:30-22:00 |