パリの手打ち蕎麦屋
「円(YEN)」
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「円」近況及びフランスでの蕎麦栽培
11月の始めにほぼ半年ぶりにパリ「円」にお邪魔した。
今回は夜 遠野氏と差しでご馳走になってしまった。
前回は高橋邦弘氏が手ずから打たれた蕎麦であったが今回は
日本の新そばを使って現地のスタッフの方が打たれたものであった。
せいろと田舎を頂いた。いずれも麺としてはコシ・風味ともに
日本の一流店で頂くものと何ら遜色のないものであった。
フランスを始めとして欧州はこの冬は極めて天候が不順でずっと雨が続いている。
イギリスでは恒常的に洪水が起きている始末だ。
そのような中、遠野さんたちが始めたフランスでのそば栽培も収穫の段階にきて
困難に直面しておられた。すなわち、うち続く雨のためにせっかく実ったそばを
収穫できないのだ。一日も早く晴天が続くときが訪れることをお祈りしている。
今回は入口に暖簾がかかっていた |
「パリのそば会」
去る6月13日、14日の両日パリの「円」で「そば会」が開かれた。
山梨・長坂「翁」の高橋邦弘氏やそのお弟子さんたちを招いての本格的な会である。
庵主もたまたま同じ頃にパリに滞在する幸運に恵まれ、14日にお邪魔する機会を得た。
日本からパリへの機内では氏は「水が違うから上手く行くかちょっと心配」
と言っておられたが、出来あがった蕎麦はとても素晴らしいものであった。
お店の方も写真でお分かりいただけるように非常にスマートな作りで、
「和」と「洋」が見事に調和した素晴らしいインテリアである。
さすがオンワード樫山が手がけられるだけのことはあってセンスの良さが光る。
それともそれはご担当の遠野さんの思い入れのなせる業か・・・。
今週(6月19日の週)は日本種のそばの種蒔きだそうである。
パリで「新そば」が食べられるのももうすぐだ。
パリ「円(YEN)」での「そば会」の模様(6月14日) |
1階/2階が「円」。St
Benoit 通りの22番である。この道は真直ぐ行ってSt. Germain通りに出て、左に曲がるとすぐにCafe
Les Deax Magots
がある。オペラやルーブルの方からセーヌ河を渡ったら比較的すぐである。 庵主はオペラ座のあたりから散歩がてら歩いて、「円」まで行った。 (単にフランス語ができないので、タクシーに乗るのも、メトロに乗るのも億劫なだけなんだが・・・) |
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正面入口。何となく、和風のような・・・。譜面台(に見える)はメニューを置くのであろう。 しゃれた(枯れた)暖簾でもお出しになったらどうかと思う。 奥に見える縦格子の向こう側正面がガラス張りの打ち場になっている。 入るとナントそこではあの高橋さんがそばを切っていた・・・。 |
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そば会開始前の2階店内。日本の田舎屋をモチーフにした柱が「和」の雰囲気を醸し出しつつ、テーブルや椅子はモダンである。 1階にも客席があり、個室もあるようだ。 |
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反対から見たところ。右奥の席では焼き物ができるようなコーナーが設えてある。 | |
1階打ち場における高橋邦弘氏の作業風景。「地のし」。後ろに木鉢がありお弟子さんらしい方が水まわし・捏ねをされてでき上がったそば玉を氏が手際良くのしている。 みるみる円盤状になっていく。 |
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「丸だし」。麺棒が滑るように動く。極めて軽快な動きだ。 | |
「本のし」。麺棒3本を使う手際も極めて素早い。ちなみにこれらの麺棒は高橋氏が日本からわざわざ持ってきたもの。 麺棒が入っていると見られるジェラルミンのケースがターン・テーブルを回っているのを庵主はしっかり見てしまった。 |
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「切り」。「切ったら包丁を少し倒して駒板を僅かに送って、そしてまた切る」と習ったがそんな手順を踏んでいるとはとても思えない。まるで駒板自体が自分の意思で動いているかのように滑らかに切り進んでいく。 少し切り進むと「こま分け」。 この後、「そんなにしたら麺が切れるのではないか」とヒヤッとするぐらいの感じのざっくりした手際で、麺についた打ち粉を払い、生舟に麺を並べていった。 |
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そばのプレリュードはそば味噌とごま豆腐。共にとても美味しかった。東京の名だたる名店での酒肴と何ら遜色のないものとお見受けした。 お酒は新政を竹の筒に入れた冷酒をいただいた。これも満足。いかにも佛人に受けそうなセンスのいいプレゼンテーション。 |
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待ちに待ったお蕎麦。初めて口にする高橋氏の蕎麦。色はやや薄めでほんの少し緑っぽい。そのまま頂くと蕎麦の香りが鼻腔をくすぐる。どちらかというとやや太めの切り幅か。素晴らしいコシと切り口の鋭いエッジ感。よって、爽快な口・歯茎・頬・舌さわり。そう、五感の全てで味わいたいくなるようなそばである。 水の違いはそれほど感じなかった。 これを、あと4-5枚頂いてしまった・・。至福の時。 |
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高橋氏のご説明。手前の方は氏にちょっと似てますが、佛人なので他人だと思います。 | |
お客さんのひとりに詳しく説明して下さる高橋氏。この後、庵主の前の席にお座りになり、お酒を酌み交わしながらいろいろとお話を伺うという機会に恵まれた。 氏はやはり今年一杯で長坂を去り、広島の「達磨」に移られるそうである。 また、氏が一年指導された「円」の主の打たれたそばについて「どんなものを出してるのかと思って心配していたが、結構美味しかったので感心した。なかなかの仕事ぶり」とのこと。これで、円も「翁」の高橋氏、お墨付きの名店の仲間入り。 |
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有名な Les Deux Magots
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