(一度しか伺っていないのであくまで第一印象です) 午後4時には閉まってしまう店ゆえ、城南方面に住み皇居方面に勤める庵主としてはめったなことでは訪れることのできないロケーションである。箱入せいろと田舎をいただいた。せいろはいかにも手打ちという感じのする切り方でやはり極めて風味高く清冽である。8月30日より北海道産の新蕎麦になっているそうで、一段と風味があった。もちろんつゆなしで半分以上は食べてしまう。 |
田舎はこれまた田舎らしい仕上がりだが、最近思うのは更科堀井のような店の田舎は田舎といっても鞍馬や吉法師における普通のせいろのような感じで真っ白な「さらしな」との対比で「田舎っぽいな」と思わせるのに対して、ここ鞍馬や布恒更科の田舎は「超田舎」という感じでややごっつ過ぎるような気がする。要するに庵主は「田舎がより風味が勝るもの」と思ってどこに行っても田舎を食べようとしてしまうのだが、実は「超田舎」的そばの食感を余り好まないということが少しわかったような気がするのである。要するに鞍馬でも普通のせいろのほうがトータルに見ると美味しかったということだ。
なんだかとても回りくどくなってしまったが、つゆについては実はすごくがっかりした。つゆにはまったくと言っていいほど「ぷぅ〜ん」とくる風味がなかった。激しい空腹で嗅覚も鋭い中、麺が供される前に何度もそばちょこに鼻を突っ込んで香りを探したが全くの無臭とはどうしたことか。味も同じく麺の素晴らしさにくらべて余りに非力といわざるを得なかった。たくさんつけてもおなじで麺との乖離が激しかった。よって、そばだけをひたすら口いっぱいに含んでその風味を楽しむことに専念することとあいなった。 (重ねて、一度の往訪であるので、つゆについての記述は割引いてお考えを) 杉並区西荻南3-10-1
(地図は左の住所をクリック) 03-3333-6351 |